2014/08/26 住宅新報
全国住宅産業協会の「優良事業表彰」を受賞した物件について現地を巡り、企画担当者の声を聞く「優良事業表彰を巡る」6回目。
今回はアスコットの「アスコットパーク日本橋人形町ATELIER」を訪ねた。
「都心の限られた空間の中で、面積を広くすることは難しいが、天井を高くして体積を増やすことで、他との差別化を図ることができた」
企画を担当した、アスコット企画開発部長の前田朋広氏は話す
通常、2.5メートル程の天井高を「アスコットパーク日本橋人形町ATELIER」は、すべての居室で3メートル(一部4.1メートル)に設定。図書館の天井まで続くような本棚など、高さを生かし他の物件よりも、よりライフスタイルにあった生活を可能にしている。
「居住者の中には『気兼ねなく室内でゴルフスイングができる』という方もいた」(前田氏)。
同物件はすべての容積を使い切っており、ワンフロア増やすことはできなかったが、斜線制限などの関係から高さを高くすることは可能だった。当然総工費は上がり、周辺相場より1割ほど販売価格は上昇したが、販売開始からわずか3カ月で完売した。購入の決め手にも3メートル天井の希少性を挙げる声が多かったという。
「天井が高い」ことについては、希少性だけでなく様々なメリットも生み出している。開口部が大きくとれることにより、部屋が明るくなるという点。更に天井高を活用し収納を多く設置する工夫ができる点だ。同物件では、ポイントオーダーシステムを導入。1ポイント1000円の設定で、タイプにより480ポイントから555ポイントを利用し、カラーセレクトや設備変更などを可能にしている。
ポイントオーダーシステムでは収納を設置するケースが多く見受けられたほか、シーリングファンや大きな絵を設置することができるピクチャーレール、浴室の天井を高くするアイテムなど、高さを生かしたアイテムが人気を呼ぶ結果となった。
江戸のアトリエ意識
同物件は、人形町駅から徒歩2分、江戸の風情が色濃く残る地域に立地。統工芸品にもなっている葛篭(つづら)が作られる商店街に隣接している。
立地特性から同物件のコンセプトを「江戸のアトリエ」に設定。外観には縦横に竹が編まれた葛篭のようにタイルを配置。表面の質感は漆が塗られたように光沢をもたせた。
エントランスには、壁面に行燈(あんどん)をイメージした光窓を設置。光窓の表面には江戸伝統の矢羽根柄(やばねがら)を採用している。
「現代的な建物の中に江戸の風情が感じられるもの調和させた」(同氏)
前田氏は、「コンセプトをしっかりつくり、物件に落とし込んで販売につなげていくことは非常に効果的だった。また3メートルの天井は、非常に好評だった。立地の特性によるが、可能であれば今後も導入していきたい」としている。(贄川圭介)