2022.08.09

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『日刊不動産経済通信』にて、中林毅社長インタビューが掲載されました

2022/08/09 日刊不動産経済通信

トップインタビュー・アスコット社長 中林毅 氏

物流開発やファンド運用など多様化に舵
―「DX」と「国際」「金融」で付加価値

―7月19日付で社長に就任した。
中林氏 中国の投資ファンドの平安ジャパン・インベストメントの代表取締役でもあり、16年にアスコットに出資してから株主として経営に関わってきた。一昨年にSBIグループとも業務提携した。中核のマンション事業から物流施設の開発やファンドの運用などへと事業領域を広げ始めている。

―主力のマンション事業は堅調だ。
中林氏 資本参加した当時は分譲マンションの扱いが多かったが、売上高は60億~70億円ほどだった。東京五輪が近付いた頃に都内での仕入れが困難になったこともあり、投資用賃貸マンション事業に軸足を移したところ業績が拡大した。昨年(21年9月期)の売上高は約249億円だった。足元の開発案件は分譲1棟を除き、すべて投資用マンションだ。

―マンションの需要は強い。市況をどうみる。
中林氏 今の日本の金利は海外に比べて低く相対的に割安感がある。住宅への投資意欲は非常に強い。かつては1棟5億円前後の物件を富裕層らに売っていたが、最近は海外投資家にバルク売りし、運用管理を当社が受注するケースが増えた。一方、鋼材価格の高騰と住設機器の搬入遅れが懸念材料だ。竣工が1カ月遅れたり、見積もり内容が変わったりすることもある。

―事業環境が不透明だ。どう乗り切る。
中林氏 2年先の市況は読めない。投資用物件を大型化させてきたが、外資向けの構成比率が高く、将来的に市場が逆回転を始めると危険だ。リスクを和らげる手段の1つとして早めに売却し、資産の回転率、内部収益率を高めようとしている。ポートフォリオや売却時期を多様化させ、合わせ技をとっている。

―分譲マンション事業は縮小する方向か。
中林氏 増やしたい気持ちはある。主に都心周辺の駅徒歩10分圏内で投資用を開発してきたが、今後は埼玉や千葉、神奈川などに広げてもいい。その過程で分譲事業の機会も生まれてきそうだ。

―傘下のグローバル社グループとどう連携する。
中林氏 財務の健全化に取り組んできたが、黒字化のメドが付いてきた。グローバル・エルシードは埼玉や千葉、神奈川などでもマンション事業を手掛けていて、販売面でも当社との相乗効果が期待できる。

―小規模なオフィスの開発も手掛けている。
中林氏 年に1、2棟を販売していて国内外からの引き合いも強い。今は海外投資家の買い意欲が旺盛だが風向きが変わるのが心配だ。そのためポートフォリオを多様化させリスクを分散させている。物流施設の開発にも力を入れていて、小型施設を単独で手掛けている。いずれ他社と組んで大型施設にも挑戦したい。

―会社のビジョンをどう描く。
中林氏 不動産分野はDX化(IT・デジタル活用)が遅れていて、だからこそ拡大の余地がある。当面はAIなどを駆使して事業効率を上げることをやっていく。新たに参入したファンドや物流不動産開発などの事業部門を「DX」と「金融」「国際」の切り口で強化する。DXでは不動産の小口化を、国際(海外事業)では中国の投資家に日本の不動産を売ることを、それぞれ視野に入れている。3つのキーワードで不動産事業の付加価値を高めていくことが理想だ。まだ取り組みを始めたばかりだが必ず実現させる。