2025.10.15

ALL

Two properties won the Good Design Award 2025ーASTILE Hiroo&AUSPICE Fukuoka Tenjin-

株式会社アスコット(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:中林毅)は、当社が開発した「ASTILE広尾」「AUSPICE福岡天神」が2025年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しましたのでお知らせします。アスコットの物件として通算18、19件目のグッドデザイン賞受賞となります。なお、グッドデザイン賞は、デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動で、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質が評価・顕彰されます。

◤受賞プロジェクト概要

1.ASTILE [アスティーレ] 広尾

 「ASTILE広尾」は、広尾の閑静な住宅地と恵比寿の商業オフィスエリアの間に位置する全19戸の賃貸集合住宅です。その特徴的な形状や配置は単なる意匠上の工夫ではなく、高密度な都市空間における「住むことの質」という本質的な問いに対して敷地特性を注意深く読み取り、環境との関係性を丁寧に設計することで、収益性や空間効率だけでなく、暮らす人の居心地のよさと街への穏やかな寄与を両立した点が高く評価されました。
 
 建物を敷地に対して斜めにずらしながら配置する雁行・段状のデザインを採用し、厳しい形態制限の中で建物の容積を最大限確保しながらも圧迫感を抑え、街並みに調和する外観を実現しました。 雁行配置によって外周部に生まれた「小さな庭」を介して、光や風、緑を豊かに取り込みます。各住戸が異なる開口部や眺望を持ち、日常に変化と心地よい余白をもたらします。1階住戸は地下を含むメゾネットタイプのSOHOとし、街路から住戸へ直接アクセスできる設計としました。コロナ渦以降、多様化する都市居住スタイルに対応して、地域との新たな関わりを促すことも期待されます。


[審査委員評価コメント]
「敷地に対して建物を振って配置することで、意味のある余白と抜け感を獲得している。それを、量塊的なデザインの中に立体的に位置づけているところが良い。余白にSOHO住戸が配置され、住み手の利用によって周辺環境との親和的な関係性が期待できる。上階のテラスは、縦格子柵の配置に変化をつけることで、テラスの方向性を多彩にしている。街路との境界部分の樹木は、いずれ、角度の振れを緩和するように働くであろう。」


 

2.AUSPICE [オースピス] 福岡天神

 「AUSPICE福岡天神」は、福岡市天神地区に建つ10階建ての中規模オフィスビルです。S・Aクラスビルのようなハイグレードな装備に頼らずとも、快適で環境性能の高いオフィス空間が実現できる可能性を提示し、中規模オフィスビルならではの新しい環境価値を創出した点が高く評価されました。なお本物件は2024年に「極めて優れた“環境・社会への配慮”がなされた建物」として「DBJ Green Building認証*」4つ星を取得しています。

 厚さ9mmの鋼板で構成した格子状のルーバーが日射を遮り、快適な室内環境を保ちつつ、街並みに光と陰影のリズムを織り込むファサードを提案しました。外装建材として主流のアルミ材ではなく、「鉄」という素材の特性を再評価することでディテールや施工方法に工夫を凝らし、建築技術面からも新たなデザイン表現の可能性に挑みました。格子ルーバーは部位ごとに奥行きを少しずつ変化させ、鉄ならではの端正でシャープな印象の中に、揺らぎと柔らかさを生み出しています。これは単なる表層的な意匠操作ではなく、熱負荷シミュレーションによって空調効率を最適化し、さらに周辺都市空間との関係性を丹念に読み解いた結果から導き出されたデザインです。

*DBJ Green Building認証とは
「環境・社会への配慮」がなされた不動産の評価を通じ、事業者と金融機関・投資家の架け橋となることを目的に、日本政策投資銀行(DBJ)が創設した環境不動産認証制度。「建物の環境性能」「危機に対する対応力」「ステークホルダーとの協働」「多様性・周辺環境への配慮」「テナント利用者の快適性」のESGに基づく5つの視点により総合評価される。建物の性能や定量面だけでなく、長期的視点に立った事業者の取り組みや、運営上の配慮も重視して認定される。
<関連ニュースリリース>「「AUSPICE福岡天神」アスコット初!DBJ Green Building4つ星を取得」はこちら


[審査委員評価コメント]
 「環境性能と社会への深い配慮がなされた、地方都市の中規模オフィスビルである。デザインとしては、鋼板の格子ファサードが目を引く。これが日射を効果的に制御しつつ、光と陰影による印象的な表情をもたらした。また夜は格子にあわせた照明によって、異なる姿が出現する。興味深いのは、ファサードの120マスが、500mmから1100mmの範囲で奥行きが変化し、立体的な揺らぎを与えていること。各部の長さは空調負荷のシミュレーションなどから導かれた。」