休日は、私は銀座まで自転車で出かけたり。夫は路地裏を散策したり。それぞれに「日本橋」という町を楽しんでいます。お互い、高校の頃からの知り合いなので「あなたの趣味が私の趣味よ」なんて初々しさは、もはや無し。なぜ結婚したのかと問われれば、互いにいい歳して独身だったから(笑)。もとい!フランスだったり、無垢のフローリングだったり。ベースの部分で、いいね、と思えるものが一緒だからだと思うんですよね。日本橋。この町のニュアンスは、私たちの見解では限りなくパリに近い。湿度というか、風の匂いというか、古い建物の、古い壁が放つ、懐かしい空気。街を歩いている人が「おはよう」って気軽に話しかけてくれたり、愛犬に説教してくれたり。下町ならではの人情からもそんな空気を感じます。それでいて、新しいお店ができても、すっと受け止めてしまう「度量」もある町。おしゃれな喫茶店、知る人ぞ知るケーキ屋…夜になれば、街灯に灯りがともり、居酒屋におだやかな賑わいが訪れる。ネオンでにぎやかな東京の夜の中、この街の空気だけはポツンとパリ。パリったらパリなんです(笑)。
そうそう、ヨーロッパの南部地方に「シエスタ」と呼ばれる、お昼寝の習慣がありますよね。その時間帯に町を訪れても、みんな家の中にいるから、通りには誰もいない。オフィス街である日本橋にも、この「シエスタ」があるんです。人が少ない夏の休日。シーンとしていて、でも日差しは強く、石の気配だけが、静かに伝わってくる。そんな趣きを感じることがありました。歴史の深さが、私をそんな気持ちにさせるのかなあ。「それじゃあ一概にパリってわけでもないね」とひた走る私の妄想に、夫につっこまれてしまいましたが(笑)。