2014/10/06 週刊住宅新聞
アスコット、分譲戸建、アパート開発に参入、多彩な事業で再成長に舵
アスコットは事業ポートフォリオの拡大を進めている。主力のマンション分譲や中古収益不動産のバリューアップに加えて、投資用アパート開発や戸建分譲事業に着手。寄せられる用地情報を有効に活用するとともに、事業環境の変化に強い体質を構築する。加賀谷愼二社長は「数年間かけてアパート販売を年20棟規模、戸建分譲を年間100棟規模に拡大するなど、仲介コンサルティングを含め各事業をバランスよく伸ばす。現在年3棟ペースのマンション分譲も年7棟程度に拡大していく」と話す。
同社は、物件ごとにコンセプトを導入しデザインした分譲マンションを開発するなど企画力が特色。デザインだけにとどまらず、たとえば緑ある生活を提案するマンションならば汚れにくく手入れのしやすい素材を作用するといった工夫も施している。
これまでも賃貸マンションを開発してきた。分譲マンションに比べて企画やデザインなど特色を出しやすいため、周辺相場よりも高い家賃設定や長期にわたる高稼働が見込めるという。
ただ、賃貸マンションは総額が大きくなり、買い手がファンドなどに限られる。このため個人投資家をターゲットにアパート開発に参入することにした。
同物件はすべての容積を使い切っており、ワンフロア増やすことはできなかったが、斜線制限などの関係から高さを高くすることは可能だった。当然総工費は上がり、周辺相場より1割ほど販売価格は上昇したが、販売開始からわずか3カ月で完売した。購入の決め手にも3メートル天井の希少性を挙げる声が多かったという。
事業エリアは東京の都心とその周辺が中心。鉄筋コンクリートや鉄骨造などで、総額1億~3億円程度を目安とする。
すでに中野区と渋谷区で開発に着手している。建築中に投資家を探し始めて、要望も取り入れながら仕上げる。
04年以来10年ぶりに再開した戸建分譲事業は、浅草に開発した「アスコットカーサ浅草」(全2棟)をこのほど引き渡した。限られた敷地を有効に活用するため3階の中央居室の上部を吹き抜けにするとともに、大きなロフトやルーフバルコニーを設置。ガーデニングなど屋外空間を活用した生活を提案する。
2階のLDKには大きなパントリーを設置したり、LDKに面した階段に引き戸を設置するなど使い勝手を重視。戸建住宅では珍しい宅配ロッカーの設置や、駐輪場を設置するなどマンション向けの設備も導入した。
東京23区とその周辺で展開。まずは年30棟、将来的には年100棟を目指す。
マンションも加速
マンション分譲事業も強化する。建築費が上昇しているものの、「物件の差別化によってある程度は価格転嫁できる」と見る。
このほど引き渡しを終えた「アスコットパーク両国BLOOM」(総戸数20戸)は、花のある暮らしをコンセプトに、各住戸のバルコニーに花を飾れるフックを設置。外構の植栽や、エントランスホールに設置したアート、外観デザインなどをつくり込んだ。独身女性なども購入し、竣工までに完売した。
今年6月に中央区で売り出した「アスコットパーク東京リバーサイド」(総戸数18戸)は、川沿いの立地を生かして、日当たりや通風、眺望を重視した。1フロア2戸の全3LDK。圧縮プランが増えるなか、両タイプともに80平方メートル超を確保した。こうした商品企画が評価され、短期間で9割が販売済みとなった。
加賀谷社長は「マンション分譲は、城東に加えて城南、城西エリアに拡大する。仕入れの幅を広げてアパートや戸建てとの相乗効果を高めたい」と話す。