2016/06/20 週刊住宅新報
JR京葉線八丁堀駅から徒歩3分、東京駅2キロメートル圏内の利便性から、周辺相場が坪単価280万円程度のところ、DINKS・ファミリー層向けに5880万~7730万円に設定した。
八丁堀周辺は、現在も浜離宮恩賜公園として残る将軍家の別邸をはじめ、江戸時代の大名の別荘地だった。大名が美と安らぎを求めて建てた別邸の暮らしを重ね、コンセプトは”土地の記憶”を主軸に「美の離宮」と定め、デザインに反映した。
エントランスは、一の間、二の間、三の間へと連なる離宮の空間を再構成した。各空間に盆栽やアートを設えた。塗り壁には本物の金箔をグラデーション状に施すなど、和の美の本質を表現した。さらに、上部住戸を抜き、中4メートルの天井高を実現することで、住戸までのアプローチに美術館さながらの空間を創出。本物志向をターゲット層として訴求した。
一方で、高さ制限38メートル制限の中で、1階を半地下とし、住戸階の階高を確保した。構造は、耐震壁を活用した2棟構成を採用。躯体原価を約5%削減した。外観正面は、同色の45二丁タイルを縦横相互に張り、陰影の差を利用して伝統的な市松文様を浮かせるなど、コスト面でも工夫を凝らした。
専有部分は、バルコニーデッキをリビングと段差なくつなげたワイドリビングやウオークインクロゼット仕様など、多様な3LDKプランを設定した。独自のセミオーダーシステムを採用し、ライフスタイルに対応する”間取り・仕様を選ぶ楽しさ”の提供に努めた。
当時、中央区で初の低炭素建築物を取得したほか、浴室のミストサウナの実装や非ホルムアルデヒド系接着剤の使用、24時間微風換気システムの採用など、環境や健康にも配慮した。
資料請求で約900件、来場約350件の反響があり、販売開始8カ月で完売した。購入層は大手企業勤務者や医師など年収1000万~1500万円の30代~50代だった。
中高層分譲住宅部門(小規模)