株式会社アスコット

about ASCOT

Architect HAMAR'S eye

夏と冬では寝る場所を変える

昔、きちんとかき混ぜないでお風呂に入ると、上は熱いのに下の方が冷たいという経験をした人は多いでしょう。
これは暖められた水は膨張し軽くなるので上昇し上部の水は熱くなり、冷たい水は重いので下部に滞留するから起こる現象です。
同じことが空気でも起こります。同じ部屋の中でも、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下にたまっていきます。

絵画

ユーロッパに旅行すると、ホテルのベッドが床から結構な高さがあるな、と感じることも多いですよね。これは石の床が多く、石そのものがひんやりしているのを避けることと、冷たく重い空気をベッドより下に集め、寝ているときに体に冷気が当たらない工夫と思っております。冬を過ごしやすくするための工夫で、ベッドの高さは寒さが厳しいところほど高くなっているに違いありません。夏を住みやすくする発想で考えられてきた日本の住宅とは発想の違いが面白いですね。

ひまわり

この考えを取り入れた暮らし方が、先日スペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿に行った際、この王宮でも行われていたと聞きしました。
アルハンブラ宮殿に住んでいた王族たちは、夏の寝室は地上に近い部分に配置して暑さを避け、また冬の寝室は2階建の上部に引っ越し寒さを避けたそうです。
エアコンなどの器具のない時代ですから、自然の力を利用した素晴らしい暮らし方だと思います。夏と冬で寝室を変えるこの住み方を手にした王族たちは、冬は、王宮内の暖かい空気が上昇して暖まった寝室で、また夏は暑い空気を上部に逃がした適温の寝室で、心地よい眠りを満喫したことでしょう。

現代の暮らしで、もちろん寝室を引っ越すことはなかなかできないとは思います。ただ、寝る高さを変えることでも、温度差を感じるでしょう。例えば、冬はベッドで寝て、夏は床に布団を敷いて寝るだけでも、幾分かエコの暮らしができると思いますので、是非お試しください。

HAMAR'S PROFILE

1968年生まれ 建築家都内の古民家を自ら設計しリノベーションして暮らす。
海外生活歴4年間。
日本の繊細なデザインと海外の大胆なデザインの両方を併せ持つ建物企画を得意とする。

Design Reports ミラノサローネ